刑務所ソマティクス

2020年5月から、刑務所でソマティクスを教えています。

どうして刑務所でこんなマイナーなワークであるソマティクスを教えることになったかというと、

私が普段ソマティクスを教える女性依存症の回復支援をするセンターの大嶋栄子氏が
刑務所内での支援プログラムを始めたからです。厚労省のプロジェクトの一環でもあります。ちなみに大嶋氏は、日本における女性薬物依存回復の分野の第一人者です。ご著書も多数ありますので、その分野に興味のある方は是非ご一読下さい。

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刑務所に行くようになり気づいたのは、刑務所はやはり特殊な職場であることです。

普通の職場と違い、刑務所にはたくさんのルールがあり、そのルールに則って
みなさんお仕事をされています。さらに、色々な意味で、常に、自分の身を守りながら、お仕事をされているので、並々なぬ緊張感を感じます。

恐らく、刑務所内でお仕事される方々は、それほどの緊張感があるとは気づいてはいないことと思います。毎日のことだから、慣れてしまっているはずです。でも、1週間に一度だけ外部からやって来る私は、ぴりぴりとその緊張感を感じます。こんなに緊張しながらお仕事してたら、毎日大変だろうなぁと思います。そして、その習慣化された緊張感が心身に与える影響は、とてつもなく大きいのではないだろうか・・・とも考えてしまいます。

ハンナ・ソマティクスのエレノア・クリスウェル・ハンナ先生はかつて、こう言いました。

「世界中の何百万人もの人がプリズナー(囚人)です。彼らは、自分の身体に囚われているのです。」

これは、様々なトラウマ体験によって感情だけでなく、身体の自由も失っていくこと(全身の筋肉のあちこちが収縮すること)を意味しています。でも、心身の自由を奪うのは、トラウマ体験だけではありません。毎日の習慣が自由を奪うことだってあるのです。

いつも同じ動きばかりしてたら、それ以外の動かし方ってなかなかできませんよね!?

毎日の緊張感に慣れていくと、身体のあちこちが緊張しても気づけなくなってしまいます。そして、気づかないうちに、身体のどこかが痛くなったり、動かし難くなったり、凝ったり張ったりするものです。それは、ある意味、緊張の繰り返しによって、本来あったはずの自由を奪われた状態・・・とも言えるかもしれません。

では、どうすればよいのでしょう?職場を変えるわけにもいきませんし、多かれ少なかれ、私たちはみんな似たようなシステムの中で生きています。

だからこそ、内側から変えること、つまり「気づき」と「リセット」が必要なのではないでしょうか。

自分の日常の習慣に、たまには意識を向けてみること、変えてみること。そして、心身ともに
リセットするために何かをすることはとても大切です。

ソマティック・エクササイズもそのツールのひとつになります!

Masako Hirasawaについて

日本で唯一人の公認ハンナ・ソマティック・エデュケーター。臨床心理士、公認心理士。心と身体とスピリットをひとつにすることを目指します。

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